巻頭言2021年2月

必要なものをご存知である神さまへの祈り

カトリック藤が丘教会主任司祭

今年の復活祭は4月4日。この復活祭に向けて、主日の日曜日を除いた40日前、灰の水曜日から四旬節が始まります。今年は2月17日です。カトリックの典礼において、この四旬節の期間は復活祭に向け神さまへと立ち返る期間として、大切にされています。

四旬節は、イエスがヨハネから洗礼を受けた後、悪魔からの誘惑を断ち切りながら荒れ野で40日間過ごしたことに由来しています。これから洗礼を受けようとする洗礼志願者にとっては、復活祭で行われる洗礼式に向けて最後の準備をしていく期間になります。信徒にとっては、自分が洗礼を受けた日を思い起こしながら、キリストを伝える者としての生き方を振り返り、新たな気持ちで神さまと共に歩むよう回心していく期間です。

四旬節の最初の日は灰の水曜日です。回心のしるしとして灰をかぶって清めるという当時のユダヤ教の伝統にならって、この日に行われる灰の式では、少量の灰を頭や額に受けます。灰の水曜日のミサ中に読まれるマタイによる福音書朗読では、イエスが弟子に、施しをするとき、祈るとき、断食するときの行ないについて説いています。イエスは、人の前で善行をしないように、会堂や大通りの角に立って祈らないように、断食しても沈んだ顔をしないようにと話し、むしろ人目につかないところでそれをしなさいと勧めました。

これは、そんな人目につくようにしなくとも「隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる」と、神さまはそうした行いをしていることをすでにご存じであると諭すのでした。イエスが祈るときにはと話した個所には、今回の朗読では読まれない後半部分があります。祈りは言葉数が重要ではないと話し、カトリックはもちろん、キリストの教会全体が大切にしている主の祈りの原型を次のように伝えています。

あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存知なのだ。だから、こう祈りなさい。

『天におられるわたしたちの父よ、

御名が崇められますように。

御国が来ますように。

御心が行われますように、天におけるように地の上にも。

わたしたちに必要な糧を今日与えてください。

わたしたちの負い目を赦してください、

わたしたちも自分に負い目のある人を赦しましたように。

わたしたちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください。』

(マタイによる福音書 6・8〜13)

わたしたちが必要なものを神さまはご存知でいてくださるからこそ、自分本位の行いから謙虚に神さまへと立ち返り、その必要な恵みが与えられるように祈り求めてまいりましょう。

キリストの教会は社会に開かれた共同体です。より多くの人々がわたしたちのカトリック藤が丘教会の扉をたたかれることをお待ちしております。興味を持たれた方は是非日曜日のミサにいらして下さい。

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