9月巻頭言『秘跡としての教会を意識して』

主任司祭 鵜飼好一

今年も8月が終わりを告げ、9月が始まりました。月末と新しい月の初めの話題は何といっても台風10号です。最大級の勢力のまま日本に上陸した台風10号は今ゆっくりと日本を縦断し、風と大雨による沢山の被害を日本全国にもたらしています。交通網にも多大な影響をもたらし、日本経済にも大きな影響を与えています。また同時に、日本の政治に大きな動きがあります。ニュースでは毎日、自民党の総裁選挙に向けて立候補する政治家たちについての報道が取り上げられています。
 
振り返れば、台風が訪れる前は何とも言えぬ暑い日が続いていました。台風によっていくらか気温が下がったかと思えば不安定な気象状況のもと、湿度の高い日々の毎日で一週間以上も続いています。すっきりとした秋の訪れとは言い難い今日この頃です。全世界に目を向ければ、ウクライナ戦争やイスラエルとハマスの戦争の話題、中国や北朝鮮の動きなどが気になるところです。
 
季節の大きな変わり目を迎えているようですが、何か不穏な雰囲気です。しかし、そうは言っても、わたしたちは日常の生活に目を向けなければなりません。最近の毎日のミサの聖書朗読の個所にテサロニケの教会への信徒への手紙がありました。パウロは、「しっかりと地に足をつけた日々を送るように」教えています。世の中の出来事や変化はわたしたちの生活に大きな影響を与えます。そうした現状の中で、信仰に根差した歩みをしっかりと歩み続けるように促しています。この世と無関係に歩むことではなく、教会の存在はこの世を福音化するためにあることを忘れてはならないでしょう。この世にあって神の国のしるしとして教会は「いわば秘跡である」と言われています。イエス・キリストは教会を通して、今もその救いの働きを続け、この世に救いの恵みをもたらし続けています。その働きは、キリストに結ばれているわたしたちキリスト者を通してなされます。
 
新しい季節がやってきます。その季節が喜びに満ちた季節になるように願います。この世におけるわたしたちが、神のみ旨を行い、福音の恵みを多くの人に届けることができますように。信仰によって生きるわたしたち一人ひとりが、神の恵みと祝福のうちに歩むことができるよう新たな決心をし、喜びをもって毎日歩んでいきたいと思います。

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