9月巻頭言『夏から秋へ』
主任司祭 鵜飼好一
連日の猛暑日や真夏日が続いた大変暑い夏がようやく過ぎて行こうとしています。しかし、新たなニュースでは台風の発生が続いており警戒が呼びかけられています。どうやら今年の日本は沢山の台風に悩まされそうです。季節ごとにわたしたちはいろいろな楽しみを見出して味わいますが、災害はなんと言っても歓迎できるものではありません。収穫の秋と言われますが、せっかくの手塩にかけた作物や果物などの豊かな実りも、あっという間に失われてしまいます。
世界に目をやってもあちらこちらで今までにないような災害のニュースが聞こえてきます。とんでもない山火事や水害など、いまの時代、今までの経験から予想できない現象が世界中で起きているということです。
昔から人類は常に自然との闘いに明け暮れていました。自然を自らの手で操作し支配しようとしてきたと言えるでしょう。しかし、わたしたちはきっと今、考え方を変えるように促されているのでしょう。わたしたち人間の存在も、すべての生き物も自然の一部であり、自然と共存していかなければなりません。神はこの世界をお造りになったとき、調和と秩序をお与えになりました。自然の法則に逆らっては、生き物は生きていくことができないのです。
コロナ禍がひとまず新しい段階を迎え、ある落ち着きを取り戻した今、わたしたちは以前に比べ、自然の豊かさや美しさ、その素晴らしさに目を向けるようになった気がします。人の作った物の囲いの中に閉じ込められていたコロナ禍の時代を経て、自然がわたしたちに大きな癒やしを与えてくれることに気づき、心引かれるようになったとも言えるでしょう。
8月には夏休みを自然の中で十分に楽しんだ方々もいるでしょう。結構なことです。子どもたちには自然を大切にする心を小さいときから育んでいく必要があるでしょう。自然の力の大きさを過小評価してもいけないでしょう。自然に親しみ、自然をよく知ることも忘れてはならないでしょう。わたしたちは自然の中で自然と共にあって生きていくのです。自然の中には神さまの英知が輝いています。自然を知ることはまた、お造りになった神さまを知ることでもあるとわたしたちは知っています。