11月巻頭言『入院の体験から』

主任司祭 鵜飼好一

先月のホームページの巻頭言の続きです。
先月は一週間にわたる入院体験のいきさつなどを書かせていただきました。今までこのような体験はしませんでしたので、わたしにとって大変インパクトの強い経験になりました。
 
とにかく、2日ほどで40度の高熱は落ち着き平熱に戻りましたが、蜂窩織炎が右足膝下全体に拡がってからは、炎症がひどく痛みも伴い歩行困難になりました。その結果ベッドに釘付けになり、移動が必要なときは車椅子で移動しなければなりませんでした。一日中ほとんどベッドの上で過ごすことになったのです。一番困ったことは、何も持たずに入院させられたことです。外との連絡も断ち切られました。時間は沢山ありますが、する事は只々ベッドの上に横になり安静にしているだけです。
 
突然、すべてを奪われた感覚です。入院の際、最低限必要な保険証や財布は持っていました。着る物も病院から借りたパジャマだけです。着てきた衣服も教会に持って行かれてしまいましたので、退院の時に届けていただきました。幸い、ベッドで横になっているとき、足が平行になっているときにはそれほどひどい痛みではありませんでしたし、意識もしっかりしていました。しかし、意識が常に明瞭であったので、かえって同じ姿勢で横たわっていることが大変つらく感じました。
 
幸い、病室が緊急病棟から四人部屋に変わってからは、電動ベッドだったのでいろいろ動かして姿勢を少し変えることができ、少し楽になりました。常に同じような状態に置かれていましたので、睡眠時間が一日のうち十分取れているかどうか自分ではよく分かりませんでした。
 
緊急病棟では食事は本当においしく感じられませんでした。毎日これが続くかと思い、毎日の食事の大切さを思いました。老人ホームを訪問したとき食事がおいしくないと愚痴をこぼしていた方のことを思い出しました。おいしい食事を取ることができないことは本当につらいことで、それがいつまでも続くということを想像すると本当に堪えきれない思いがします。幸い、病室が変わってから、わたしの場合食事制限はなかったので、意外に食事はおいしい食事でした。かえって食べ過ぎないように意識的にセーブしたので入院中の一週間で3㎏ほど痩せました。これはわたしにとっては嬉しい結果です。

外の人との面会は一切できない状況でしたのでひたすら考えを思いめぐらすことだけが毎日の日課になりました。基本的には、覚えている聖書の言葉を思い起こしながら、少し黙想するような感じでした。しかし、祈りになっていたかどうかと言うと自信がありません。こんな時こそ祈らなければならないのにと、反省させられました。あるシスターが、病人自身祈ることが難しい状況に陥ったとき、付き添う人の祈りが本当に大切だと言っていたことを思い出しました。病人訪問の時忘れてはいけないと思いました。また、今回、沢山の方々に心配していただき、祈ってくださったことを感謝いています。ありがとうございました。

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